通常、アローダイアグラムそのものを与えられており、それに対するさい最早結合点時刻や最遅結合点時刻を問われますが、アローダイアグラムの作図を問われることがあります。
本記事では、アローダイアグラムが与えられていなくても、自力で作図できるための必要な知識を紹介します!
アローダイアグラムとは
概要
アローダイアグラムは、PERT図(Program Evaluation and Review Technique)とも呼ばれており、プロジェクトに必要な各作業の時間・順序を可視化することで、クリティカル・パスを特定し、品質の管理を行い、円滑なプロジェクト完了を目指すものです。
なお、アローダイアグラムはいわゆる新QC7つ道具として位置しており、運営管理を行う上で重要な手法の一つとなっております。
図の見方
下図が例図となります。
図中の判例にある矢印(→)が「作業(アクティビティ)」と呼ばれており、一般的には矢印の下側に所要日数等を記載します。
また、丸(○)は「ノード(結合点、イベント)」と呼ばれています。
作成手順
冒頭で説明したように、アローダイアグラムを作成するための手順が下記となります。
文章だけでは伝えにくいので、後述の例題を中心にお読みください。
- 各作業の先行作業および後行作業を、1対1で単純につなげていく。
つまり、ある作業が複数のノードから発生していても構いません。 - 分岐している各最終ノードを1つに纏める。
但し、最終ノードへの作業が全て同じ場合は、その作業を含めて纏める。 - 始点ノードと終点ノードが重複している作業は、ダミー線を使って分割する。
その際、他にも複数現れている作業があれば、それをダミー線側にする。 - 同じ作業を一つに纏めて完成。
例題
中小企業診断士試験の一次試験の科目である「運営管理」の試験問題を使って、アローダイアグラムの作成手順を見ていきます。
例題1
平成30年度の問6からの出題です。
作業1:作業と作業を単純に繋げていく。
A及びBは先行作業がないので、最始点ノードからA及びBの作業を描く。
C及びDの先行作業はAなので、Aの終点ノードからC及びDの作業を描く。
Eの先行作業はB、C及びDなので、B、C及びDの終点ノードからEの作業を描く。
(この際、複数のノードから同じEの作業を描きますが、この時点ではこのままにしておきます。)
最後にFの先行作業はDなので、Dの終点ノードからEの作業を描くと下図となります。
※説明と見やすさの都合上、完成形のアローダイアグラムを意識してアルファベット順に描いておりません。
作業2:最終ノードを纏める。
この例では、最終ノードへの作業がE及びFとなるので、最終ノードのみを繋げる。
作業3:始点ノードと終点ノードが重複している作業をダミー線で分割。
この例では、Eの作業が他にも2箇所現れているので、Eをダミー線側で分割します。
作業4:同じ作業を1つに纏める。
この例では、Eの作業が3つありますので、それらを一つに纏める。
上図ではA→C→Eを中心に纏めましたが、他の終点ノードに繋げても変形すれば同じアローダイアグラムです。
例題2
平成26年度の問10からの出題です。
作業1:作業と作業を単純に繋げていく。
Aは先行作業がないので、最始点ノードからAの作業を描く。
B及びCの先行作業はAなので、Aの終点ノードからB及びCの作業を描く。
Dの先行作業はBなので、Bの終点ノードからDの作業を描く。
Eの先行作業はB及びCなので、B及びCの終点ノードからEの作業を描く。
Fの先行作業はCなので、Cの終点ノードからFの作業を描く。
最後にGの先行作業はD、E及びFなので、D、E及びFの終点ノードからGの作業を描くと下図となります。
作業2:最終ノードを纏める。
この例では、最終ノードへの作業がGのみとなるので、Gの作業の始点ノードから繋げる。
作業3:始点ノードと終点ノードが重複している作業をダミー線で分割。
この例では、赤枠のD及びEの作業、緑枠のE及びFの作業が重複しているので、それらをダミー線で分割します。
また、Eの作業が2箇所現れているので、Eをダミー線側で分割します。
作業4:同じ作業を1つに纏める。
この例では、Eの作業が2つありますので、それらを一つに纏める。
よくある勘違い
作業をノードにしてしまっている
アローダイアグラムの学習が曖昧な状態で、アローダイアグラムの作図に取り組むと、作業とノードを混同してしまい、作業をノードとして取り扱ってしまう勘違いがあります。
この状態に追い討ちをかけるように、「ダミー線があるはずだ!」と思い込むと、泥沼にはまりますので、注意しましょう。
異なる作業を同じ終始ノードで繋げている
アローダイアグラムには、重要なルールの一つとして、「異なる作業を同じ終始ノードで繋げてはいけない」ということがあります。
これを回避するために、ダミー線を使う必要がありますので、正しい作法を学習しておきましょう。
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