絶縁抵抗とは?
絶縁抵抗とは電気が流れている「電路と大地」、もしくは「電路間」の電気の漏れにくさ(=絶縁性能)を表す数値であり、単位としてΩ(オーム)が使われていますが、Ωとしては大きい数値を扱うことが多いため、電気設備の世界ではMΩ(メガオーム)で表記されることがほとんどです。
この絶縁抵抗が小さくなることを「絶縁劣化」といい、絶縁劣化が進行することが感電の危険性が高まりることと同義になります。
なお、物理学の電気の初歩で学ぶ電気抵抗と単位は同じですが、これは「電路内」の電気の流れにくさを示しており、異なりますので注意しましょう。
接地とは?
接地とは英語で一般的にアース(Earth)もしくはグランド(Ground)と呼ばれており、電気設備においてはあまり違いはありません。
接地の目的は大地との電位差を同じにするために設けられるものであり、この接地をしないまま漏電が発生すると、漏電機器と大地とに電位差が発生してしまい、人体が触れると感電してしまいます。
一般的にに絶縁されている(はずの)機器から大地に意図しない電路で流れている漏電を、「漏れ電流」と呼びます。
なお、電子回路の世界においてはアースとグランドを明確に区別されており、グランドとはその回路の基準となる電圧のことを指し、アースとは文字通り、大地と接地されている場所を示します。
また、高圧ケーブルやシールドケーブルの接地があります。高圧ケーブルの接地は主に感電防止対策として扱われております。シールドケーブルの接地は主に静電誘導と電磁誘導の対策として使われております。
一般的には制御線と電力線が近接しているときに、電力線から発生する静電誘導により、制御線にノイズが乗ってしまうことが挙げられます。つまり、制御線が帯電してしまうことにより機器に悪影響を与えてしまうことがあります。対策として制御性のシールドを設置することにより、帯電性ノイズが発生を防ぐことができます。
絶縁劣化の原因
絶縁劣化の原因としては、様々な要因が考えられますが、主に下記の4つが挙げられす。
- 加熱や変形による熱的要因
- 振動や衝撃による機械的要因
- 異常電圧等による電気的要因
- 温度や湿度水分等による環境的要因
これらの要因がさまざまに絡み合い絶縁性能が低下していきます。
絶縁抵抗の測定
ケーブル等の絶縁劣化を判断するために絶縁抵抗の測定があります。
絶縁抵抗と漏れ電流の関係としては、次式で表されており、絶縁抵抗計の直流電圧を、計測された漏れ電流で割ることによって絶縁抵抗の値が算出されます。
絶縁抵抗(Ω)=直流電圧(V)/漏れ電流(A)
「電気設備に関する技術基準を定める省令」の第五十八条(低圧の電路の絶縁性能)に、絶縁抵抗値は下記以上とすることと規定されています。
一般的な回路であるコンセントや照明はほとんど100Vか200Vですので、この場合は絶縁抵抗値の値が0.1MΩ以上であることが必要となります。
電気使用場所における使用電圧が低圧の電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、次の表の上欄に掲げる電路の使用電圧の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上でなければならない。
「電気設備に関する技術基準を定める省令」の第五十八条(低圧の電路の絶縁性能)
絶縁抵抗を測定するときは、基本的には停電状態にする必要があります。しかし、停電させることが難しい場合は、低圧回路に限り、クランプメーターと呼ばれる漏れ電流計を使用することにより計測することもできます。その際の漏れ電流の値は1mA以下とされています。
使用電圧が低圧の電路であって、絶縁抵抗測定が困難な場合には、省令第58条に掲げる表の左欄に掲げる電路の使用電圧の区分に応じ、それぞれ漏えい電流を1mA以下に保つこと。
「電気設備の技術基準の解釈」の第14条【電路の絶縁抵抗及び絶縁耐力】
漏れ電流が計測された際に、回路を遮断できるように屋外機器やトイレ等の水に触れる可能性が高い電路には漏電遮断機(ELCB、Earth Leakage Circuit Breaker)の設置をすることが重要です。
まとめ
- 絶縁抵抗は「電路間」もしくは「電路と大地」の抵抗値
- 絶縁抵抗が低下すると感電の危険性が高まる
- 絶縁抵抗(Ω)=直流電圧(V)/漏れ電流(A)
- 水気のある電路は漏電遮断機を設置
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