近年はインバーター制御の電動機が増えており、電動機の負荷電流の決め方に注意が必要となります。
本記事では、内線規定に基づく電動機負荷の決め方の規程のうち、重要なポイントを纏めています。詳細については勿論ですが内線規程を参照ください。
関連する主な内線規程
- 3705−1 負荷の算定
- 資料3−7−3 電動機の規約電流値
決め方は大きく3つに分かれる
電動機の負荷の決め方は、その機器に応じて、大きく下記の3つに分類されています。
- エレベータ、エアコン、冷凍機などの特殊な用途の電動機及びインバーターを使用した電動機
- 汎用電動機
- その他の電動機
汎用電動機とは
電動機とは、一般的に交流の「誘導電動機」および「同期電動機」、「整流子電動機」の3つと、直流の「直流電動機」の計4つに分類されています。
汎用電動機の具体的な定義は内線規程には明記されていませんが、「資料3−7−3 電動機の規約電流値」から察すると、下記を汎用電動機として扱っているようです。
- 三相かご形誘導電動機
- 単相電動機
- 直流電動機
つまり、「同期電動機」及び「整流子電動機」は汎用電動機には含まれておらず、「誘導電動機」でも「巻線形誘導電動機」は含まれません。
エレベータ、エアコン、冷凍機などの特殊な用途の電動機及びインバーターを使用した電動機の負荷電流
エレベータ、エアコン、冷凍機などの特殊な用途の電動機及びインバーターを使用した電動機の、定格出力に対する定格電流(全負荷電流)は、製造業者や制御方式により異なるため、基本的には製造業者の技術資料を参照する必要があります。
なお、圧縮機専用組込電動機を使用するパッケージ形エアコンは、銘板に記載された運転電流を1.2倍した電流値を定格電流とするのがよいと規程されています。
汎用電動機
汎用電動機については、その定格出力に応じた規約電流を定格電流として適用できます。規約電流とは内線規程のなかの用語であり、上述のとおり「資料3−7−3 電動機の規約電流値」に4つ記載されています。
- 三相かご形誘導電動機(200V、400V)
出力:0.2〜132kW - 単相電動機(100V、200V)
出力:0.035〜0.75kW - 3kV 三相かご形誘導電動機
出力:45〜200kW - 直流電動機(110V、220V、440V)
出力:0.18〜550kW
例えば、三相かご形誘導電動機の200Vの規約電流値は下記になります。
出力(kW) | 規約電流(A) |
0.2 | 1.8 |
0.4 | 3.2 |
0.75 | 4.8 |
1.5 | 8.0 |
2.2 | 11.1 |
3.7 | 17.4 |
5.5 | 26 |
7.5 | 34 |
11 | 48 |
15 | 65 |
18.5 | 79 |
22 | 93 |
30 | 124 |
37 | 152 |
45 | 190 |
55 | 230 |
75 | 310 |
90 | 360 |
110 | 440 |
132 | 500 |
その他の電動機
その他の電動機に関しては、銘板に記載された定格電流(全負荷電流)を用います。
まとめ
電動機の負荷を決め方は下記になります。
- 製造業者の技術資料から定格電流(全負荷電流)を求める。
エレベータ、エアコン、冷凍機などの特殊な用途の電動機及びインバーターを使用した電動機
(パッケージ形エアコンは運転電流の1.2倍を定格電流にする。) - 規約電流を定格電流(全負荷電流)とする。
汎用電動機(三相かご形誘導電動機、単相電動機、直流電動機) - 機器銘板の定格電流(全負荷電流)を用いる。
上記以外の、その他の電動機
ちなみに、建築設備の設計を委託する場合、インバーター制御が主流となっているエアコンは製造業者の技術資料が原則ですが、規約電流で設計する設計業者も多いので注意してください。
コメント