R5年度 建築設備士試験 第二次試験 選択問題 給排水衛生設備
第1問の解答例です。
※2024年6月26日 緑化バルコニーの散水が計算漏れしていたため修正
※2024年8月22日 雑用水揚水ポンプの地階部分の揚程を修正
第2問「配管系統図」
の解答例はこちらを参照ください。
雑用水受水槽の有効容量
表1-1に必要な、1日当たりの雑用水の給水量は、
1,500×20×0.7 + 150×20×0.0 + 50×80×0.7
=23,800[L/日] = 23.8[m3/日]
上記に条件2)の緑化バルコニーの散水量を加え、
23.8 + 2.0 = 25.8[m3/日]
よって、条件3)より仕様は、
25.8 [m3/日] / 2 = 12.9[m3/日]
以上より、13[m3]を選定。
雑用水揚水ポンプ
揚水量
表1-1に必要な、時間平均予想給水量は、
1,500×20×0.7/6 + 150×20×0.0/10 +50×80×0.7/10
= 3,780[L/h]
上記に条件2)の緑化バルコニーの時間平均予想給水量を加え、
3,780 + 1,000 = 4,780[L/h]
条件4)および条件5)より、揚水量は時間最大予想給水量とするため、
4,780×2 / 60 ≒ 160[L/min]
全揚程
断面図及び条件6)より、実揚程は、
(6+2)[B1F]+5[1F]+4.2×2[2~3F] +4.5 [4F] +4 [屋上2]+4 = 33.9[m]
※雑用水受水槽が地階の床下ピットにあり、「最低水位は地階の床面下 2 m」とあるため、
地階の階高6mに2mを加えた数値が地階部分の揚程と考えます。
※飲料水受水槽は床下ピットを使用することはできません。
一方、雑用水受水槽は地階もしくは床下ピットのどちらでもあり得るので注意しましょう。
よって、条件7)より、全揚程は、
{33.9 [m]+(100[kPa]+10[kPa])/9.8}×1.1 = 49.64[m]
参考
全揚程の単位は正確には[mmAq](ミリメーターアクア)で表され、高さ1mm当たりの水圧を示します。
これとSI単位系である[Pa]への変換は下記になります。
1 [mmAq] = 9.80665 [Pa]→ 1 [mAq] = 9.80665 [kPa]
よって、[kPa]を9.8で除することで、[m]に換算しています。
電動機の定格出力
条件8)及び12)より、
よって、表1-2より、直近上位の3.8[kW]を選定。
参考
Lw :理論動力(水動力) [kW]
ρ :液密度 [kg/m3]
g :重力加速度 [m/s2] (= 9.8 m/s2)
Q :ポンプ流量 [m3/min]
H :ポンプ全揚程 [m]
α :余裕率
Ea :ポンプ効率
Eb :伝導効率
1[W] = 1[J/s] = 1[位置エネルギー/s] = 1[mgh/s]
J :ジュール
m :質量[kg]
g :重力加速度 [m/s2] (= 9.8 m/s2)
h :高さ [m]
雑用水高置水槽の有効容量
条件4)より、瞬時最大予想給水量は、
4,780×3 / 60 = 239[L/min]
よって、条件8)より、有効水量は、
(239 – 160)×30+160×10 = 3,970[L/min]
以上より、4[m3]を選定。
自然冷媒ヒートポンプ給湯機
厨房の日給湯負荷
表1-1より、厨房の日給湯量は、
150×10 = 1,500[L/日]
よって、条件11)及び12)より、日給湯負荷は、
参考1
H1=c×Qd×(t-tc)
H1 :日給湯負荷[kJ/日]
c :比熱 [kJ/(kg・K)] (= 4.2[kJ/(kg・K)])
Qd :日合計給湯量[L/日]
t :給湯温度[℃]
tc :給水温度[℃]
参考2
3,600 [kWh] = 1[kJ]
よって、単位を[kJ]から[kWh]とするために、上式にて3,600で除しています。
加熱能力
条件11)より、加熱能力は、
H = 96.25 / (10+5)×1.1×1.05×1.05 = 7.78[kW]
参考
H=H1÷3600÷(T1+T2)×α
H :必要給湯機加熱能力[kW]
H1 :日給湯負荷[kJ/日]
T1 :追掛運転時間[h/日]
T2 :貯湯運転時間[h/日]
α :係数
コメント
いつも参考にさせていただいております。
R5給排水衛生の第1問ですが、4階緑化バルコニー散水量は考慮しなくて良いのでしょうか。
2m3/日を加えて、雑用水受水槽容量12.5m3→13m3かと思いました。
ご教示いただけますと幸いです。
コメントありがとうございます。
おっしゃる通りだと考えますので修正しておきます。
いつもお世話になっております。
全揚程の計算で、「最低水位は地階の床面下2m」というのは、地階階高6m-2mの計算で大丈夫でしょうか?R4年の「地階の床面上1m」との違いが気になりまして。
コメントありがとうございます。
ご指摘のとおり、(6+2)mを揚程として考えるのが正しいです。
修正します。