建築設備士|接地工事の種類や概要、要点

建築設備士

 接地工事は電気設備の技術基準により、「異常時の電位上昇、高電圧の侵入等による感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件への損傷を与えるおそれがないよう、接地その他の適切な措置を講じなければならない。」とされております。

 また、技術基準に基づいた内線規程が実質の基準となり、電気設備の工事を行ううえで必ず遵守する必要があり、逸脱すると電力会社からの受電が認められません。

 本記事では、内線規定に散らばる接地工事に関する取り決めのうち、重要なポイントを纏めています。

 詳細については勿論ですが内線規程を参照ください。

接地工事の種類(1350−1)

  1. 接地工事の種類は、全部で4種類あり、A種接地工事およびB種接地工事、C種接地工事、D種接地工事がある。
  2. 各接地工事における接地抵抗値は原則、下記の数値以下にする必要がある。
    • A種接地工事:10Ω
    • B種接地工事:150/(一線地絡電流)
    • C種接地工事:10Ω
    • D種接地工事:100Ω

機械器具の金属製外箱などの接地(1350−2)

  1. 機械器具の金属製の台及び外箱には下記の使用電圧に応じた接地が必要
    • A種接地工事:高圧
    • C種接地工事:300V超過
    • D種接地工事:300V以下
  2. 燃料電池発電設備を除き、下記のいずれかを満たす箇所に設置する機械器具は接地を省略できる。
    • 乾燥した場所で、交流の対地電圧150V以下または直流の使用電圧300V以下
    • 電気用品安全法(PSEマーク)の適用を受ける二重絶縁構造の機械器具
    • 二次電圧300V以下かつ定格容量3kVA以下の絶縁変圧器を敷設する場合
    • 水気のある場所を除き、電気用品安全法(PSEマーク)の適用を受ける低圧用漏電遮断器を設置する場合
    • 絶縁性の台や被覆を施す場合

A種、C種又はD種接地工事の施設方法(1350−3)

  1. 接地線は合成樹脂管(VE管)に入れる。
  2. 接地線はアルミ線を使用できる場合もあるが、原則銅線を用いる。
  3. C種およびD種接地の接地線の太さは、配線用遮断器の容量により、下記以上にする。(銅線の場合)
    20A:1.6mmまたは2sqmm
    30A:同上
    60A:2.0mmまたは3.5sqmm
    100A:2.6mmまたは5.5sqmm
    150A:8sqmm
    200A:14sqmm
    400A:22sqmm
    600A:38sqmm
    800A:60sqmm
    1000A:60sqmm
    1200A:100sqmm
  4. A種接地の接地線の太さは、下記以上にする。(銅線の場合)
    固定器具:2.6mmまたは5.5sqmm
    移動器具:8sqmm

C種又はD種接地工事の特例(1350−4)

  1. C種又はD種接地工事ともに、金属体と大地との間が確実に接続されている場合で、その抵抗値が規定値以下(C種:10Ω、D種:100Ω)であれば、接地工事を省略できる。

B種接地工事の施設方法(1350−5)

  1. 特別高圧を含む高圧ー低圧の変圧器には、低圧側の中性点にB種接地工事を施す。
  2. 接地線はアルミ線を使用できる場合もあるが、原則、IV電線もしくは同等の銅線を用いる。
  3. B種接地の接地線の太さは、変圧器一相分の容量により、100V級は下記以上にとする。200V級はその容量の2倍、400Vおよび500V級はその容量の4倍に読み替える。(銅線の場合)
    5kVA:2.6mm
    10kVA:3.2mm
    20kVA:14sqmm
    40kVA:22sqmm
    60kVA:38sqmm
    75kVA:60sqmm
    100kVA:60sqmm
    175kVA:100sqmm
  4. 但し、埋込み又は打込み接地極で、他の接地と接続しない場合は、14sqmm以上のものは14sqmmにすることができる。

人が触れるおそれがあある場所のA種及びB種接地工事の接地線(1350−6)

  1. 接地極は75cm以上の深さに埋設する。
  2. 鉄柱のような金属体に沿って施設する場合、その鉄柱の底面から30cm以上の深さに埋設する場合を除き、接地極はその鉄柱から1m以上離隔する。

接地極(1350−7)

  1. 接地極は、銅板および銅棒、鉄管、鉄棒、銅覆鋼板、炭素被覆鋼棒などを用いる。
  2. 銅板は厚さ0.7mm以上、大きさ900平方cm以上とする。
  3. 銅棒は、直径8mm以上、長さ0.9m以上とする。
  4. 接地極と接地線はろう付け等で接続し、はんだ付けは避ける。

建物の鉄骨の接地極(1350−8)

  1. 建物の大地との抵抗値が2Ω以下の場合は、A種接地工事およびB種接地工事、C種接地工事、D種接地工事の接地極に使用できる。
  2. 但し、A種およびB種は非接地式に限る。

引込口付近における接地(1350−9)

  1. 建物の大地との抵抗値が3Ω以下の場合は、これを接地極に使用して、B種接地工事の中性線又は接地側電線にさらに引込口付近において接地することができる。

低圧電路の中性点などの接地(1350−10)

  1. 保護装置の動作を確保するためであれば、接地してもよい。

過電流遮断器の施設制限(1350−11)

  1. 接地線には過電流遮断器を設置しない。

接地工事の兼用(1350−12)

  1. 接地抵抗値の低い方の接地工事で他の接地工事を兼用できる。

接地線及び接地極の共用の制限(1350−13)

  1. 漏電遮断器で保護する電路は、接地抵抗値が2Ω以下の場合を除き、他の接地極と共用しない
  2. 例えば、分電盤等に室外機やトイレコンセントの水気のある回路に漏電遮断器を設置する場合は、漏電遮断器(ELB)用のD種接地工事を別途施設する。

接地線の共用(1350−14)

  1. 接地線を共用する場合は、個々に選定した場合の太さのうち、最大の太さのもので共用できる。
  2. 但し、1350−13に当てはまる場合は除く。

接地線の緑色標識(1350−15)

  1. 接地線は原則、緑色もしくは緑/黄色の縞模様の電線を用いる。

避雷針用接地極との距離(1350−16)

  1. 避雷針用の接地極および接地線と、鉄骨等の接地極は除く他の電灯電力用および小勢力回路用、出退表示等回路用のそれらとは、2m以上離隔する。

病院等における接地(1350−17)

  1. JIS T1022「病院電気設備の安全基準」に基づき接地工事を施す。

金属管配線の接地の省略(3110−16)

  1. 金属管の接地は下記の場合、省略できる。
    • 乾燥した場所もしくは簡易接触防護措置を施した場合で、対地電圧150V以下で長さ8m以下の配管
    • 乾燥した場所で、対地電圧150V以下で長さ4m以下の配管

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